経結膜法脱脂の医学

● フランスが発祥の地

経結膜法脱脂はフランスで開発されたと言われます(と私は今川賢一郎先生から、平成3年に聞きました。当時の時点で今川先生は日本において数少ない経結膜法脱脂を施術されている医師でした)。 そして私が見聞きした感じでは、 平成6年位の時は、日本ではまだ、ほとんどの施設では行われていませんでしたが、やはり明らかに優れている術式なので、その後、徐々に普及し、現在では多くの施設で行われています。 少し話がズレますが、額(おでこ)を出す手術は、ハイドロキシアパタイトを使う術式が明らかに優れています。これは丁度、経結膜法脱脂と同様に、この10年で他の術式(シリコン、骨セメント)を席巻していくものと私は思っています。

● 難しいのか易しいのか?

個人的意見ですが、結論から言えば、やり始めた当初は、不安を覚えるような難しい手術であり、多数やっているうちに、比較的易しい、埋没法と通じるものを感じる手術に思えるものです。 当初不安を覚えるのは、美容外科をやる医師は瞼の表からの切開に慣れているものであり、急に裏からのアプローチになった時、瞼を反転した上で、「今、掘っている組織は瞼の反転を戻した時、一体どの部分なのか?」ということに不安感を抱くものなのです。皮膚側に近すぎれば、皮膚の陥凹、皮膚を裏から破くような損傷、奥に向かい過ぎれば眼球を動かす筋肉を損傷(部分切断)するリスクはあります。ですから術中患者さんに目を開けてもらって、上下左右を見てもらって左右の目の動きが異なる時、医師には緊張感が貫かれますが、これは通常麻酔が筋肉に染み込んでの事なので、後で麻酔が切れるとまた、目の動きは同じになります。 このように経結膜法脱脂は「感」でやる面が多く、またセンスと愛護的操作が要求されるものです。

●実は脂肪の袋は片側3つある

経結膜法脱脂を行ううえで、横からの断面図と同時に前からの断面図(前額断)も考えなければなりません。実は脂肪の袋が3つあり、通常は、内・中の袋からのみ脱脂を行い、外側の脂肪の袋は開けずに、そのままにしておく事が良いものです。

●下眼瞼皮膚の小切開脱脂と経結膜法脱脂は厳密には取っている脂肪が違う。

断面図で見て、皮膚側アプローチでは眼窩脂肪の最前部を取っています。それに比して経結膜法では、最前部のすぐ後ろの脂肪を取っています。ですから同部の脂肪がなくなると減圧されて最前部の脂肪が後方に後退して経結膜法脱脂でも外観の変化が生じるようです。その分、皮膚側アプローチより若干多めに脱脂する必要があります。

●効果は何年持つのか、再発はするのか?

これは難しい質問ですが、10年たっても、もし手術をしなかった自分と比較できるとしたら、やはり効果は残っていると言えるでしょう。ただ術後10年の間にそれなりに再発はしてきているものです。 再発に関して手術をやってもやらなくても10年間に目袋の脂肪が出てくる分が同じなのか、少ないのか(もしくは多いのか)ですが、これは少ないと言われています。 それは術中に止血凝固したり、また傷が治る過程として脱脂した部分が瘢痕形成を生じ、その瘢痕組織がバリアーのようになって、後日更に出て来ようとする脂肪を抑えているというのです。